あることが気になって頭から離れない、あることをしないと気がすまない
気になって頭から離れないことがら、それを「強迫観念」と呼びます。
私たちが普通に体験するのは、例えば家を出た後、「鍵をかけたか気になってしかたがない」とか「やかんを火にかけたままではないか」と心配になったりすることです。
しかしこの心配の程度が度を越して強くなると、生活に支障をきたすようになります。
例えば、鍵をかけたか気になってわざわざ帰宅して鍵かけを確認する、そして出かけてはまた鍵が気になって引き返して確認する、これを何度も何度も繰り返さないと気がすまない。
こうなると生活ができません。このような行為を「強迫行為」といいます(確認強迫)。
強迫行為は、強迫観念に伴う心配、不安を和らげるために行うものです。
そしてそれをしないと気がすまず、心配、不安でどうしようもなくなってしまうのです。
強迫観念や強迫行為には、明らかに不合理なものが含まれます。
手が細菌で汚染された、と恐れて(「不潔恐怖」)、手を何度も洗い、手がぼろぼろになる場合もあります。つまり「やりすぎ」てしまうのです。
ものの手順などにこだわりが強く、おなじやり方ができないと最初からやり直さないと気がすまないかたもいます。
もっと怖いことが頭に浮かんで苦しむかたもいます。
自分が大事な家族を傷つけたり殺したりしたのではないか、と恐ろしくてしょうがなく、毎日テレビのニュースなどで何度も確認する、などです。
これらのことが、自分でも不合理だとわかっていながらやめられない人もいます。
一方、自分ではあまり不合理ではない、と考えておられるかたもいます。
不合理かどうかはともかく日常生活に支障をきたしていないかどうか、を検討することが大事ですね。
強迫観念に伴う心配、不安は非常に強いので、まず薬を服用して、気持ちを少しでも楽にすることから始めるのが普通です。
こだわりが強いかたも多く、薬を飲むことに抵抗のあるかたもおられます。薬に頼ることになると恐れるようです。
しかしこういう時には依存性の少ない薬を使うのが普通です。
そして、すこしずつ耐えられる範囲で強迫行為を減らしていき、強迫に縛られない生活を取り戻していきます。
これを認知行動療法といいます。